2008年5月2日金曜日
オーフス
5月2日。今日はデンマークの国鉄会社DSBのディスカウントデイ。
毎年5月2日にデンマーク国内のDSB沿線であれば列車運賃が最大60%OFF!!
『DSB』は日本でいうJRのようなもので、
デンマークのメトロ、S-tog(郊外電車)、バスなど
ほぼすべての公共交通網をこのDSBが運営している。
さてさて、倹約精神に基づく我々からすれば、
対象物がなんであれ『ディスカウント』とはなんとも素敵な響きである。
電車代もお高いこの国では、この日を利用しない手はない。
この際あてもなくどこか遠くへ電車の旅というのも悪くない。
お隣の国、スウェーデンはマルメも沿線範囲だが、
ここは後日バスでも安く行けそうだし、
かといえ、アンデルセンの故郷オーデンセも行ってみたいが
今回利用するには少々距離が近いようだし。 う〜ん。。。
鉄道マニアではないにしろ、
こういう計画を立てるのが億劫でたまらない。
なんていう人は幸い僕の周りではまずいない。
こういう計画段階こそが一番胸が高鳴る時。
おもしろい。
ここは思い切って夜も明けないくらいの時間から
ごそごそ行動するのはどうだろうか。
そして、昇る朝陽を望みながら電車で移動するのはどんな気分だろうか。
こうして『夜逃げ屋風』出発作戦を決行することに。
行き先はデンマークの第2の都市『オーフス』。
電車で片道4時間くらい。まずまずのいい距離だ。
そうと決まればDSBのサイトへアクセス。
チケットの手配だが、これがまたデンマーク語オンリーのサイト。
悪戦苦闘の末、約2時間かかってようやくオーフス行きの
ディスカウントチケットを手配した。
気付けば夜中の1時をまわっている。
明朝5時には中央駅発の電車に乗るには、
家を夜中の3時半には出ないと、中央駅行きのバスには間に合わない。
(幸いデンマークのバスはほぼ24時間体制で夜通し運行している。)
なんでもそうだが、初めてのことを試みるというのはなんともおもしろい。
いわゆる遠足前日気分のテンションの為なかなか眠りにはつけない。
1時間も眠ったのか、起きたままだったのか。
時計の針が夜中の3時を指したころ。
『夜逃げ屋作戦』決行である。
ヒソヒソ話&ジェスチャーで仕度を進める。
ロミちゃん、マルコが起きないように必死で息を殺す。
こういう状況って逆に声を出したくなったり、
ふと我に返ったりして余計におかしく感じる。
食パン、水、オレンジ、バナナを詰めてそろ〜と夜逃げ成功。
まだまだ深い夜空の中、ピーンと冷たい空気が頬をさす。
吐く息も白く、バス停の時刻表も朝露で文字がかすんでいる。
しばらく待っていると、霧の向こうからバスのライトが近づく。
今風なポップミュージックをBGMにバスの運ちゃんは
こうでもしていないとやってられないよ。という感じ。
車も通行人もほとんどいないコペンハーゲンの闇の中、
オーフス行きの列車は午前5時に中央駅を出発。
広い田園風景のなか西へ西へ列車は進む。
持参した食パンとバナナを食べ終え、
朝陽が列車を追いかけはじめた頃、ようやく睡魔が。
4時間の列車移動。まずはしばしおやすみなさい。。。
ぐっすりと眠りについていたのだろう。
まわりの乗客の顔ぶれもいつのまにか入れ代わり、
車窓の景色もいつしか湖沿いを走っている。
気まぐれ天気の雨粒も激しく窓をたたいている。
程なくして車内アナウンスがオーフス駅への到着を告げる。
午前9時過ぎ。オーフス駅へ到着。
あまりの寒さにおもわず肩をすくめる。
駅のホームではDSB係員がテーブルを広げて
暖かいコーヒーと紅茶を無料で振る舞っている。
思いがけないコーヒーサービスのおもてなしに気分も体も温まる。
パラつく雨もなんのその。
デンっ子はみんな傘なんて無用です。
僕らもパーカーをざっくり被って、ざくざく足を進めます。
市庁舎のインフォメーションでマップを調達。
パン屋やブティックが軒並ぶストリートを突き当たり、
町の中心にあるゴシックスタイルのオーフス大聖堂の見事な
祭壇・聖水盤・フレスコ画・パイプオルガンに感動。
ArhusDomkirke
雨にうたれてよれよれのマップを広げつつ、
気まぐれに古道具屋やアンティークショップを見てまわる。
おそらく近年中に建設されたであろうミュージアムも見学。
有機的でクリーンな建築を前にカメラのシャッターを連続。
所狭しとディスプレイされたデザイン本にプロダクト製品。
好みのヨーロッパ特有のデザインに身を包んだミュージアムグッズ。
ぜんぶぜ〜んぶっ買って帰って資料としておいておきたい!!
という気持ちも抑えつつ、今日はショッピングではござぁません。
BY MUSEET
ARoS
何気ない動機で訪れた町オーフスだったが、
町を歩き始めた直感で「あ、この町は気持ちいい」と感じる。
コペンハーゲンももちろん素敵な街だが、
中央はやっぱり中央なのです。
なんにせよ僕はやっぱり郊外派。
生活の匂いをたっぷり感じとれる町オーフス。
今度はディスカウント価格ではないけれど、きっとまた来たくなる町。
この町に空きアパートはないだろうか。
そんなことを考えつつ、帰りの列車の中でこの日記をタイプする。
もちろん2回目のコーヒーサービスもいただきながら。
窓の外はすっかり夜。
帰りの車内は全席予約済みの様子。
隣の家族はにぎやかにトランプゲーム。
みんな今日という一日を最後まで楽しんでいるみたい。
本日の列車旅行ももうあと1時間程でコペンハーゲンです。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿